自立型タープ用雨どいの製作1


ちょこちょこ触れている話題ではありますが、管理人は毎年、友人たちと夏キャンプを行っております。
昨今 流行りのグランピングなどという洒落たキャンプとは程遠い、正に“野営”という言葉がしっくりくるようなイベントです。
10人位が集まるのでそこそこの規模になるわけですが、必ずと言っていいほど雨に見舞われます。
まあ夏の事なので 台風や夕立が来るのは当然なんですけどね。

で、皆が集まる共同スペース的な空間を作っているのが自立型のタープ。
自治会の出店やスポーツ大会でお馴染みのアレです。
これを皆が持ち寄って、繋げて設置することで広いスペースを確保しているわけです。
しかしタープとタープの間は雨が駄々洩れなので、ちょっと長い時間降られると えらい目にあいます。
そんなわけで今回は、このタープ間に張る雨どいを作ってみました。

まずは仕様を。
@2.4〜2.6mサイズのタープ使用を想定。
A様々なメーカーの製品に対応できる。
Bとにかく簡単に設置できる。
C小人数(理想は一人)でも設置できる。
Dなるべく永く使えるように。
E低コストで。

こんなところでしょうか。
まず@ですが、一番こなれたサイズなので。
Aは、サイズが同じでもメーカーごとに骨組みや構造が違うため。



上がL社、下がK社としましょう。
同じサイズの物でも、根本的な構造が違ったりします。

B,Cは、ロープで縛る方式とかではなく、もっと簡単にセットできるような方法を考えたい、という事。
Dは、接着剤など経年による劣化が心配される加工は避けよう、という事。
Eはまあ、いつも通り・・・達成できないんだろうなぁ。

さて この雨どいを作るにあたって、市販品の実情について色々調べてみました。
ちょっと検索するだけで、いくつかヒットしますね。

まず鹿番長。
片側4ヶ所ずつをマジックテープでフレームに固定する方式ですが、上記Aで触れたようにメーカー毎に構造が違うので、
固定する場所の状態によってはバランスが悪くなる可能性がありますね。

それからFIELDOORというメーカー。
造りは良さそうなんですが、固定方法がファスナー止めという同社製品の専用設計なのが惜しい。
それと張った時に外側に向かって雨を逃がすラウンド形状、というのが売りの一つのようですが、
正直、これは片側に向かって下げる方が使いやすいと思います。
自立型タープというのは、物販であれ観戦であれ野営であれ、殆どの場合前後方向が決まった使い方をするものです。
ここから落ちた雨は足元で大きく跳ねるし 水はどんどん溜まるしで、使い勝手が良いとは言えない・・・。(個人的感想です)
このへんはうまく改善したものにしたいところ。

他にも見つけることができましたが、どれも特定機種の専用オプションであって 汎用的な使い方は厳しいですね。

と、色んな事情がわかった所で 全体の構造&材質を考えていくわけですが、
まず真っ先に思いつくのが 帯状に切ったブルーシートを二つのタープの間に渡す方法。
前述のように、どのメーカーでも採用しています。
問題なのは取付方法。
タープの構造に左右されずに、簡単に設置したい・・・。
というわけで、考えたのは2本の棒の間にブルーシートを渡す担架方式。
タープに吊り下げるためのフックを両端に設け、計4ヶ所だけで保持。
ブルーシートは広げた時にハの字になるように加工して、設置した時には片方だけが下がるようにします。
さらに下がった方には開口部を設けて、そこからホース状の逃がし口を付けましょう。

さっそく実際の加工に入っていきますが、まずは棒(言い方がアレなので以降フレームと呼びます)の材質を何にしようか。
基本的に持ち運んで使用する場合が多いわけで、なるべく軽くしたい。
しかし構造上それなりに強度も欲しい。
んー・・・
塩ビパイプでいいや。
とはいえ2.5mを持ち運ぶわけにもいかないので、せめて二つ折り構造にしたいところ。
一番最初の脳内予想図では
“細長ブルーシートwithハトメをロープで固定し収納時はクルクル丸めておこう!”
なんて考えだったのですが、よくよく考えたら自立型タープとセットでしか使う事がないので、
タープの袋の中に入りさえすれば 長かろうが全然構わないのだった。

で、二つ折りの方法ですが 加工が簡単な“差し込み式”にするか、伸ばすだけの“ヒンジ式”にするか。
差し込み式だと使用中にすっぽ抜ける恐れがあるし、ヒンジ式にするにはジョイント部品を作る必要がある。
とまあいろいろ考えた結果がこれ。



エンドキャップを蝶番でつなぐという安直さ。
ネジは在庫品でまかない、コスト削減。
コイツを塩ビパイプに接着固定してしまいます。
注意しなくてはならないのが、構造上、設置した時に蝶番の背中側?が必ず下側にこなくてはいけない事。
この後の加工のためにも、早い段階で上下の向きを決めておく必要があります。
で、こんな感じに。



同じものを2本製作。

次にブルーシートの加工に入りますが、いかにもブルーシート!という見た目を避けるべく、緑のシートを選択。



いやまあ近くで見ればバレバレですけどね。
サイズ的にも、□2.7mの規格があるのがうれしいところ。
そしたらこれを、採寸したデータを元にして、必要な形状に切っていきます。
が、写真が無い・・・。

最も重要だと思われるのが、端の処理。
ここを怠ると、そこからどんどんほつれていって寿命が短くなると予想。

それを阻止すべく使用したのがホットシーラント。
下に木を敷いて、その上にシートを載せて、さらにセロファンを被せた上からコテを当てる、と。
直接だとブルーシートが溶けてコテにくっついてしまうところを、セロファンがふせいでくれるという理屈らしい。



こんな感じ。ボケボケ写真で申し訳ない。
少しでも長いこと当てすぎるとシートが溶けるし、短いとくっつかない。
なかなかコツを要する加工です。

とにかくこうやっていろいろくっつけた状態がこちら。



かなり雑な写真ですが。
銀色に見えるのは補強用の強力布テープ。
溶着では強度を出しにくい部分に張って、補強してあります。
長辺の端は前述のフレームを差し込むために袋状にして、短辺の端はほつれ防止のために短く折って溶着。



フレームをセットするには、こんな感じで。
二つ折り状態のフレームを、シートの中央穴から入れていくわけです。
さらに、4隅はこんな感じ。



フレームが突き抜けないような袋状に。

そして4隅の切り欠いてある部分には、タープへ吊り下げるためのフックを付けます。
フック用の金具を取り付けた状態がこちら。



塩ビパイプに穴を開けてコの字型の金具を装着し、さらにその金具にアイボルトを通したもの。
各部の固定にはキャップボルトや袋ナットを使用し、シートを傷付けることの無いように注意。
アイボルトはフリーでくるくる回るようになっていて、取付けの自由度を確保しました。
塩ビパイプの穴は、設置時に地面と水平になる向きになるよう加工します。
こうすればフックが必ず上側に来るというわけ。



フックは百均の自転車コーナーとかにある荷物固定用のフック付きゴムロープを半分に切ったもの。
これを4カ所に結ぶだけの簡単仕様。

このフックをタープのフレームに引っ掛けて設置するわけです。
唯一気になるのは、塩ビパイプに穴を開ける必要があるため、時間を経るごとに中に水が溜まっていく心配があること。
しかも、その溜まった水は簡単には抜けないだろうことですね。

といったところで、次回は末端の処理とホースの作成編です。






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